頭がよくなりたい

頭がよわい大学生の軌跡

例えば絵を描くのにどんな動機が必要か?

私は大学講義が不満である.いや?今までの授業の受け方が間違っていた.

大学講義それ自体に意味はない.大学講義を受けテストの点数がよかったからと言ってなんだ?なにも学んだことにはなっていない.学問は出席して試験対策をしていれば身につくものほど甘いものではない.(就職するために卒業するなど論外,専門学校へ行け)

そのことに気が付いている人間が,学部に何人いるだろうか?少なくとも博士課程に進む人間はそのことを十分に理解していることだろう.今年度は,計算上4人から13人が博士に進む.はじめから学びなおす必要があるだろう.俺は<学>を愛しているし,自然科学は社会科学や人文科学よりも時代的である.

 

俺は,大学にはいってからの三年間なにをやってきたのだろう.はじめから,博士にいくことを決めていた人はとっくに細胞の分子生物学をマスターしているだろう.しかし,俺だって学問を愛する若き学徒.私は近視眼的になるのを恐れていた.つまり,盲目的に生物学にのめりこみ,文化のフィルターに気づかない人間になることを恐れたのだ.

 

ところで,東京大学の前学長は,知の構造化の必要性を提唱した.計算機科学の発展により,WEBによる情報共有やデータ解析はますます加速している.現代で人類の知の全貌を捉えきれている人間はほとんどいない.教養なき専門家の先は暗い.本人も気づかぬうちに袋小路に迷い込む.そんな人生は空しい.

 

私は,まずこの世界についての概要をとらえたかった.この世界は,私と社会と自然に分けられる.いかなる研究者も人間である.人間の精神は個と社会から切り離すことはできない.したがって,独立しているかのように見える生物学も,個と社会とつながっているのである.物理学者は,理論物理学者と実験物理学者に分かれる.どちらに適正があるかは.研究者のパーソナリティに依存している.つまり,自分自身のことがわからなければ,世界についてなにか記述することなど不可能なのである.

デカルト自身は数学者であったが方法的懐疑という手法を用いて世界の真理を見極めてから仕事にとりかかった.カントも自然学に興味がある中で純粋理性批判という大著を書き上げたのだ.

私も自分自身のことをまず知るために心理学を勉強した.

他の学部生がどれほど人間の心理に関する正確なモデルをもっているだろうか?次に学問全体の概要を把握するために哲学を学んだ.ところですべての学問は哲学の一部である.つまり,哲学の領域のひとつとして科学が存在するのである.科学は自然科学,社会科学,人文科学に分離される.

 

生物工学という学問はかなり学際的である.

工学は科学技術を産業に応用できる発明をする学問である.工学者は専門科目のほかにも,社会学・経済学・政治学など幅広い学問に精通していることが好まれる.生物とは自然科学の古典的な分類のひとつであり,物理学,化学,地球科学に並ぶ.近年の生物学はほどんど分子生物学のことを指す.すなわち,統計力学量子化学の法則から有機化学や生物化学を基本にして遺伝学や細胞生物学,発生生物学などを組み立てる.これはまさしく分子生物学的な方法である.また実験を組むためには,数理統計学やプログラミングなどの知識も必要になってくる.生物工学の応用として脳神経科学などが存在するが,ここまでくると人類の叡智のすべてを結集させる必要があるだろう.

 

生物工学は,このようにいかなる学問的な興味にも対応する.宇宙物理学を専門にするとき生物工学を学ぶことはないが,その逆はなきにしもあらずなのである.つまり,生命を対象とした自然科学が,ほかのあらゆる自然科学よりも応用的であるという地位は揺るがないのだ.ここに生物工学の魅力がある.現代のレオナルドダヴィンチも生物学を学ぶだろう.